幼稚園の頃から先生に「人の話を最後まで聞きなさい!」と叱られてきました。大まかに物事を把握すると全てを理解したような気になる駄目なタイプの人間と言えます。
小学生の頃にハマったプラモデル作りも設計図(組立説明書)を見ながら、慎重に作ることができなかった。組み立て終わる頃に、だいたいパーツが1つ2つ余るわけです。
――あれ? これはどこに使う部品なんじゃろ? ま、だいたい作れとるけぇ、ええか――そんなことの繰り返し。説明書を細かく読み込むのが苦手で、待ちきれずに作り始めてしまう。
名門? 広島市立白島小学校に通っているとき、同級生のほわっちゃ(ニックネーム)のお家によく遊びにいきました。ほわっちゃは手先が器用で、プラモデル作りが秀逸でした。
アパート経営をしていて裕福だったのか(知らんけど笑)、タミヤ製の戦車や軍艦、戦闘機がショールームのように部屋に飾られていて、長門や大和、赤城など戦艦の形と名前をここで覚えました。
ほわっちゃは、戦車を部分的に塗装が劣化して剥げた感じ(エイジング)に仕上げ、軍人の白目と瞳をラッカー塗装で細かく描き分けていました。小学3、4年生にして職人の領域です。
それを参考に、私もジープの前でほふく前進する兵士を赤いラッカーで負傷したように塗装し、悦に入っておりました。もちろんジープの余った部品2、3個はゴミ箱の中です。
外観だけを取り繕って中身を重視しないという最悪のパターンです。人の話をきちんと聴き理解して会話するということは、説明書をちゃんと読み理解して模型を作ることに似ています。
広島県庄原市に「ウィー東城店」という全国的にも有名な書店があります。苦労されて経営を立て直した社長である佐藤友則さんの著書『本屋で待つ(夏葉社)』にこんな名言を見つけました。
――待つということは聴くということとよく似ています。待てない人はおそらく人の話(心の奥底の想い)を聞けてないと思います――(佐藤友則のあとがき)
我慢強く人の話を最後まで聞くことのできる人は本当に素敵です。静かに組立説明書を読み、黙って模型を作ることができていたら、私もきっと大成したことでしょう。
やたらと自己主張が強く、大声で自分勝手に話す若い人が増えてきたことに、そんな失敗オジサンも今は不安を感じているところです。僕みたいになっちゃダメだよ。笑