諸星大二郎の絵が好きではありません。漫画の話です。星野之宣の絵が好きだと以前このブログでも書いたことがありますが、星野と親交が深い漫画家が諸星なのです。星野の繊細な描写と異なり、どちらかというと気持ちが悪い。汗
諸星が有名になった作品は『生物都市』だと思います。今からちょうど50年前の1974年に第7回「手塚賞」を受賞。同年週刊少年ジャンプ第31号に掲載され、僕はそのストーリーに度肝を抜かれました。小学4年生の時です。
諸星作品には、人間の顔をしたドロドロなものがよく現れますが、まさに初期の代表作品だと思います。異星から持ち帰った何ものかにより、機械と生き物が溶け合ってしまう。それが街全体、世界に広がっていく様を描いた怪作です。
主人公である少年のおじいさんは、寝たきりでずっと神経痛に苦しんでいたが、機械と融解することで痛みが失われ、家屋全体と一体化することで永遠の命を得る。死ぬことの恐怖から解放されるシーンが印象的です。
読後の強いショックに眠れなかったほどで、集英社に文句を言いたいくらいだ笑。この受賞をきっかけに諸星は週刊少年ジャンプにさまざまな作品を掲載することになります。1976年に掲載された作品に『暗黒神話』があります。
主人公の山門武(ヤマトタケシ)が、父の殺害の真相を暴くために日本全国の古代遺跡をめぐるという奇天烈なストーリーで、日本神話、古代史、仏教史等に基づいた脚本の背景が独特で、唯一無二の漫画とも言える。
エンディングは、山門武がヤマトタケルの転生であることが明らかになっていく。神話の神々が怪物となって現れたり、遺跡も史実と乖離しすぎてフィクションが過ぎる気はしますが、その空想力は天才的です。
邪馬台国の卑弥呼は、不老不死となるために秘密の泉に浸かり、人間から餓鬼に姿を変えて生き続けていた。その餓鬼たちを連れて武は悪者退治をするという本当にトンデモないお話しなのです。でも当時は夢中で読んだなぁ、中学生の頃です。
僕もこの頃ロードバイクの鎖骨骨折から左肩周辺の痛みが後遺症となっていて、日々なかなか辛い。生物都市になって痛みから解放されたり、不老不死の泉に浸かって餓鬼になれば永遠の命を得ることもできます。
ま、餓鬼になるのは嫌だが、人類全体が餓鬼になるのであれば、見た目は世間からの違和感はありません。小中学生の頃に読んだ感覚とは、また異なる印象があるんじゃないかと先ほど上記作品をAmazonでポチってしまいました。笑