毎朝、NHKの朝ドラを見るのが習慣になっています。結婚してからでしょうか、規則正しい生活を送るための一つのリズムになっている。そう考えると結構長い視聴習慣ですね。20年も経っている。
ご存知の通り今放映されているのは、日本初の女性弁護士である三淵(みぶち)嘉子さん(1914〜84年)の生涯を描いた『虎に翼』。三淵さんをモデルにした佐田寅子を演じるのは伊藤沙莉さん。朝から彼女の熱演に圧倒されてしまう。
今週からいよいよドラマで「原爆裁判」がフォーカスされます。「原爆」というと、どうしても重たい、暗いイメージから離れられない。このブログでも原爆についての話題になるとアクセス数が極端に落ちます。それでも僕は伝えたい。
「原爆裁判」について、語る資格も知見もありませんが、この裁判において、世界で初めて原爆投下が国際法違反だとする判断に踏み込んだとされています。世界で最初に公的な日本の見解として発信されたのです。
ドラマでは原爆裁判の実在の弁護士である岡本尚一さんをモデルに雲野六郎が描かれます。ドランクドラゴンの塚地武雅さんが雲野を演じていて、今朝のドラマでいきなりおにぎりを手に亡くなってしまいました。泣
――「広島、長崎両市に対する原子爆弾による爆撃は、無防守都市に対する無差別爆撃として、当時の国際法からみて違法な戦闘行為。原子爆弾のもたらす苦痛は、毒、毒ガス以上で、不必要な苦痛を与えてはならないという戦争法の基本原則に違反している」
1963年12月7日、東京地裁(古関敏正裁判長)は、判決理由で米国の原爆投下をこう断じた。――(東京新聞より引用)
東京地裁は、原爆投下は国際法に違反するとしたが、原告の請求は棄却しました。賠償も補償も請求できない当時の構図では仕方がないこと。ドラマで、右陪席にすわる寅子判事、そして寅子の友人香淑の夫である汐見圭裁判長の判断が楽しみです。
NHKは、史実と大きく異なるストーリーは描きにくいでしょう。当時地裁が付け加えた言葉「被爆者が十分な救済策をとられなければならないことはいうまでもないが、それは裁判所の職責ではない。政治の貧困を嘆かざるを得ない。」をどう表現するでしょうか。
広島に生まれた人間として、このドラマの今後に注目したいと思っています。そしていまだに「政治の貧困」のために、核廃絶が全く進んでいない現状を、被爆2世として、そして日本人として、とても残念に感じます。