FacebookやInstagramを運営する米Meta社のマーク・ザッカーバーグCEOが、第三者が投稿内容の事実関係を確認する「ファクトチェック」をアメリカで廃止するというニュースが1月8日に飛び込んできました。
元々2016年の米大統領選挙で、ロシアによるSNSの偽情報などが問題になったことをきっかけに、Meta社は外部機関によるファクトチェックを導入しました。トランプもMeta社が保守的な投稿を検閲していると批判していたわけです。
Meta社は先月、トランプの大統領就任式に向けて、100万ドル(約1億6000万円)を寄付したといいます。今回のファクトチェック廃止が、トランプとの関係改善が目的と取られても仕方ない印象を受けます。
ファクトチェック廃止のインパクトを横に置いて、ザッカーバーグによる「右傾化の兆候」と論説を立てる報道機関がありますが、トランプは決して共和党の主流ではないわけで、何となくズレてる印象を受けませんか?
別段、ザッカーバーグが思想的にリベラルから保守派に転じた訳じゃなく、単に長いものに巻かれただけ(失礼!)の話ですよね。ただただ利益追求を目指しているだけでしょ。元々彼はプライバシー保護やデータへの配慮が不十分だと言われてましたしw
僕は日本人だし、アメリカのことはほとんど知らないので偉そうには言えないが、Meta社は、意思決定がザッカーバーグに集中しすぎていて、他の取締役や従業員の意見が反映されないトップダウン型のワンマン経営だと聞きます。
さらにザッカーバーグもそうですが、多くのテクノロジー企業がその技術の重要性を重視する一方で、ソーシャル・インパクト(社会的影響)や倫理的側面への配慮が不十分だと批判されることが多いのは共通している気がします。
2001年に負債総額5兆円と言われる米史上最大の倒産劇を演じたエンロン社は、売上高13兆円、社員数2万人を誇る総合エネルギー企業でした。不正会計特定目的会社(SPC)を使った簿外取引による水増し計上が発覚、経営破綻に追い込まれました。
優秀なMBA人材を多数登用し、電力デリバティブ取引で隆盛を極めたエンロン社でしたが、2000年、利益追求のため電気代を吊り上げてカルフォルニア州の電力供給を止めてしまう事件を起こします(カリフォルニア電力危機)。
自ら演出した危機にも関わらず、エンロン社の従業員が停電で困っているお年寄りをネタに笑う当時の社内の通話記録が報道され、社会的責任等全く罪の意識を感じていなかった「不誠実さ」が明らかにされました。
倒産当時エンロン社は公式に以下の4つのコアバリュー(企業価値)を掲げています。
①Integrity(誠実さ)、②Communication(コミュニケーション)、③Respect(尊重)、④Excellence(卓越性)
エンロン社は、最も重要な最初の企業価値に反した行為をずっと行っていた訳です。泣
2020年代に入ってから、企業パーパスは、まさにIntegrity(インテグリティ)ブームです。「高潔さ、誠実さ、真摯であること」などと訳され、インテグリティ経営に関する多くの書籍が本屋に並んでいます。
有名なピーター・ドラッカーもウォーレン・バフェットも「インテグリティ」の大切さについては昔から述べているわけで、企業というよりは人間としての基本的姿勢として当たり前のことだと思うのですが、利益追求すると大体人間は間違っていく。
マーク・ザッカーバーグとMeta社、またイーロン・マスクとX社が、エンロン社の二の舞にならぬことを巳年の年頭にお祈り申し上げるしだいです。そう言いながらこのブログをFacebookに投稿する僕もダメなやつですけどね。笑