
昨日、広島城の天守閣を望む三の丸に、にぎわい施設がオープンしたので見に行きました。飲食店は3店舗。ウナギ料理店とお好み焼き屋、そして武家茶道の上田宗箇流が監修した茶室をイメージしたユニークなカフェ。
現地を運営している地元放送局の幹部と話していて思い出したのですーー「広島には城があったかな?」広島市民から言わせれば、何をアホなこと言うとんじゃ、という印象でしょうが、そう言ってたのが大阪にある会社の社長なんだからびっくりでしょ。
全国的に見れば姫路城や熊本城に比べて若干知名度が低いとは言え、何度か広島市を訪れていて、広島城の存在に気が付かないとは…泣。実は、日本で大本営(日本軍の最高統帥機関)が置かれた唯一の城が広島城です。
日清戦争時に中国大陸への距離を懸念し、補給拠点の効率を考慮して選ばれた総司令部の移転先が広島だった訳です。1894年9月13日に大本営が広島に移され、2日後には明治天皇が皇居(江戸城)から広島城入りされました。
広島は当時、まさに日本の臨時首都となったのです。国の立法・行政・軍事の最高機関が広島市に移され、第7回帝国議会が広島で開催されました。明治維新以降で東京から首都機能が移されたのは、臨時とはいえ、これまで広島だけです。
インドネシアの首都移転をご存知ですか? ジャカルタからヌサンタラに移転する計画です。 人口1000万人を超える大都市ジャカルタは、人口過密、交通渋滞、地盤沈下そして洪水のリスクが長年にわたり深刻化していました。
ヌサンタラは、ほぼジャングルの中にあるので、人口密度は低く、恵まれた自然環境の中で、環境保護を重視した開発が進められています。国土の中心地にあるので均衡発展の期待もあるとのこと。この大事業は2045年までに完了する予定です。
東京からの首都移転の話は、話題にはなるが真剣に検討するレベルに来ていません。地方分権や災害リスクの分散といった利点はあるけど、経済的、社会的、政治的な障害があまりにも大きいため、現実的ではないと誰もが思っています。
でも、本当にそれでいいのかなぁ? 当たり前だ、無理だ、不可能だと言い続けて、僕らは失われた30年を過ごしてきたのです。イノベーションを起こせと、ディスラプトせよと、口では言うが、本気で変えようとしなかった。

広島県に大崎上島という離島があります。竹原港からフェリーで30分。瀬戸内海で橋とつながっていない島としては、小豆島の次に大きな島です(面積43.11㎢)。人口わずか6500人、人口密度152人/㎢。
こんな離島に首都機能を移したら面白くありませんか? 森嶋道夫は『なぜ日本は没落するか』で「東北アジア共同体」構想を掲げた。中国を6つ、朝鮮半島と日本を2つ、台湾を1つのブロックとし、沖縄に首都を置くというプランでした。
共同体の首都はEUのブリュッセルのように小さい国に置くのがよいとするロジックで、今となっては中国や北朝鮮の状況が変わりすぎてありえない構想ですが、1999年当時は、検討できる余地はあった(かなw)。
今の日本の閉塞感を打破するのに、有効な薬は存在しません。必要なのは劇薬なのかもしれない。とんでもないプランを実行して、なんか明るく楽しい日本を作っていきたい。森嶋通夫の文章にその気迫を感じるのです。
日本の少子高齢化の象徴のような離島に首都機能を移すーー馬鹿みたいだけど、なんか面白そうじゃありません?笑 中途半端に札仙広福のような地方中枢都市に移転するんじゃ、日本の構造は何も変わりませんから。