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祝ブログ開設5周年! 〜200回〜

本日4月19日で、このブログを開設してちょうど5年が経ちます。そして投稿もちょうど200回目の区切りです。振り返れば、コロナウィルスが蔓延し始める頃。今は亡き安倍首相が2020年4月7日に緊急事態宣言を行い、全国的に外出が控えられる中で始めたサイトでした。

 

4月7日は、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に宣言を発出。当時の感染者数は1日300人程度で、感染者が確認されてない県も少なくありませんでした。16日に対象は全国に拡大し、広島の街中にも人が居なくなったのです。すでに懐かしい出来事じゃ。

 

3日後の19日、日曜日の朝、ふと思い立って実験的に立ち上げたサイトでした。閉塞感のなかで何か自分で伝えられることはないかと在宅ワークをしながら感じていたのです。サイトのタイトルである「Ambarvalia(アムバルワリア)」は、西脇順三郎(1894–1982)の詩集から頂きました。

 

古代イタリアで行われていた穀物や葡萄の収穫祭を意味します。サイトのトップページはほとんどの方が見たことないでしょうが笑、「いろんなことで世界が変わってしまった今、僕たちはこれから何をつくり、収穫すべきなのか」と、読者に問いかける意味を込めました。

 

そう言いつつ、西脇のことをこのブログで取り上げたことがないことに気がついた。他の詩人はこの5年で割と触れた気がするんだけど。宮沢賢治谷川俊太郎八木重吉金子みすゞ……ん? そんなもんだっけ? 最近物忘れがひどくて。昨日の昼に何食べたかも思い出せんわw

 

西脇順三郎が、イギリス留学時に萩原朔太郎の『月に吠える』をお守りにした話は有名です。西脇の高度に抽象的な表現は、朔太郎をも超えると言われる。ただ少し英国かぶれが鼻につきます。英詩を和訳したような印象ですね。例えばAmbarvalia冒頭の詩『天気』…

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(覆された宝石)のやうな朝

何人か戸口にて誰かとさゝやく

それは神の誕生日

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 室生犀星が、わずか3行のこの詩の1行目について、「これだけの一行が詩人の生涯をとほして見ても、ざらに見つけられる一行ではない」と賞賛したといいます。(覆された宝石)は、英詩人ジョン・キーツ(1795-1821)の『エンディミオン』から引用したので、わざとカッコの中に入れたとのこと。

 

西脇の詩は、①超現実的・象徴的なイメージの連鎖、②論理と非論理の交錯が特徴だと言われ、難解なためか一般的な知名度は低いのではないかと思います。でも間違いなく日本モダニズム詩の先駆者であり、日本近代詩の最重要人物なのです。ノーベル賞候補にもなったんですよ。

 

最近、僕のブログについて書きためたものを小出しにしているのかと質問を受けましたが、行き当たりばったりにつらつら書いているだけなので、内容のレベルが毎回違いますよね笑。ただ西脇のように抽象的非論理的にならないようには気をつけたいものです。

 

そんな実景と幻視、あるいは現実と幻想がごちゃ混ぜになった詩をたくさん書いた西脇のことを、谷川俊太郎がこう語っています。「あんなに難しい詩を書きながら、実際に会うとお茶目なおじいさんでした。」きっと豊富な知識と遊び心をあわせ持った方だったんでしょうねー。

 

――現実世界を超える「詩的な宇宙」を自分の中にしっかりと持ち、決してそれを誰かに押し付けることのない、深いユーモアと寛容さを備えた人――西脇のような人になりたいなぁ。5年間お付き合いいただきありがとうございました。僕もお茶目なおじいさんを目指してがんばります!