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都会とレオタード

1990年代、大阪に住んでいる頃に、いろんな舞台を見に行きました。演劇やオペラも好きでしたが、特にダンスに興味がありました。東京まで行くこともあったなぁ。芸術というものと接する機会は、都会の方が圧倒的に多いですよね。

 

これだけテクノロジーが進化すると、動画もサクサク動くので画面で見る分には、何処にいても変わらぬ時代ですが、都会ではLIVEの数がまったく違います。というか、田舎にはオペラとかバレエはもちろん、世界的な楽団が訪れることさえない。これは文化的格差です。

 

コンテンポラリー・ダンスと呼ばれる前衛的なバレエが好きでした。ジョン・ノイマイヤー、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイス…。世界的なコリオグラファー(振付家)です。彼らが創ったダンス作品を見ると、自分の世界観がねじられる気がしました。

 

1960年代に、彼らの先人と言われるマース・カニングハムが、それまでのバレエの概念を変えたと言われています。コンピュータによる振付を始めたのも彼です。皆さんが大好きな?「レオタード」を衣装に愛用したのがカニングハムです。

 

華麗さを一切排除したレオタードを着たダンサーは、例えてみれば「踊る音符」です。カニングハムから始まるシンフォニック・バレエの系譜は、裸に限りなく近づくレオタードが制服のようなものでした。

 

レオタードを着たダンサーが、まるで意味を放棄したような音楽の中で躍動する舞台を、週末に観に行く男子(私のこと)は、かなりマニアックに見えたようです。当時は同性愛者説もあったくらいですから。笑

 

ベジャール振付のバレエ『ボレロ』をテレビで見た方も多いでしょう。ダンサーは、女神:シルヴィ・ギエム。あれですよ、あれ。男でも女でも、あのダンスには誰でも魅了されるって。ギエムの舞台を初めて観たときは、本当に心が震えました。(最近、スゴイと思うダンサーは菅原小春さんです。)

 

レオタードは、19世紀フランスの空中ブランコ乗り「ジュール・レオタール」の着た衣装に由来すると言われます。いえいえ、別にレオタードが好きなわけではありません。ダンス衣装が、たまたまレオタード風なだけです。アニメ『キャッツ・アイ』は大好きですけどw

 

また世界の芸術家たちが、普通に来日できる日常に戻るのを、本当に楽しみにしています。