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ダンスと家具

『カーネーション』 (C) Arnold Groeschel
『カーネーション』 (C) Arnold Groeschel

今日は11月3日、文化の日。たまには文化の香り高いことを書かなければいけません。最近の話題は、やたら地元の「祭り」のことばかりで、ブログがヤンキー化していますから。

 

今日は「である」調から「ですます」調に戻してみました。文化を語るには、やはり丁寧な言葉遣いが重要です。それと、タイトルは、「タンス」ではなく「ダンス」と家具ですよw

 

以前、様々な舞台芸術を観に行ったと書きました。特にダンスに興味があって、シンフォニックバレエのことを取り上げたと思います。レオタードのこともおまけで触れました(8月22日)。

 

妻と一度だけ、その手のダンスを観に行ったことがあります。ピナ・バウシュ振付のヴッパタール舞踊団の舞台です。確か東京の新国立劇場だったと思います。

 

20世紀のコンテンポラリーダンスを変えたと言われる天才女性コレオグラファー、ピナ・バウシュ。2009年6月30日に亡くなっています。

 

1982年の初演以来、世界中で上演された代表作のひとつ『カーネーション』が、私が初めて観たピナ・バウシュの作品です。「こんな表現方法があるんだ!」と心が震えました。

 

妻と一緒に観たのは、これも代表作『カフェ・ミュラー』のアレンジ。整然と並べられた机と椅子にぶつかりながら一人踊るピナ・バウシュのダンスに、妻は愕然としていました。

 

わけ分からんですよね、普通。スケスケのワンピースを着た老女が家具に自ら当たりまくる。目を瞑って手を下ろしたまま机にぶつかる。椅子にぶつかる。また、ぶつかる。さらに、ぶつかる。

 

ピナ・バウシュの最後の舞台になるかもしれぬと思って東京まで行ったのですが、痛そうでやり切れませんでした。肉体表現というのは不思議なものです。

 

まるで彼女の脳波が伝わってくる感じがしました。ミラーニューロンの理論ですね。観劇した後は、夫婦二人で、あちこちに痛みを感じながら汐留で夕食を取りました。

 

酒で麻酔しないと痛みが取れそうになかったので、ワインを飲み過ぎて、翌日は二人とも二日酔いでした。恐るべしピナ・バウシュ。さすがに、すごい影響力です。