· 

交響楽団とニューノーマル

新型コロナのせいで、様々なイベントが制約を受け続けています。野球もサッカーもスタジアムの入場者に上限が設けられていて、ゲームもこれまでのようには盛り上がらない。

 

昨夜、久しぶりにライブでオーケストラの演奏を聴きました。「広島交響楽団(広響)」のプレミアム定期演奏会です。広響は、中四国地方唯一のプロオーケストラだと思います。

 

演目は、ベートーベンのピアノ協奏曲『皇帝』とブルックナーの交響曲『ロマンティック』。ピアノは小山実稚恵さん。50代で紫綬褒章を受章されたスゴイ人です。アンコールに応えた小曲『エリーゼのために』の演奏も、レベルの高さをみせつけられました。

 

仕事がら地方の交響楽団とのお付き合いがありますが、広響はなかなか素晴らしい。さすがプロです。ただ、このコロナの影響で、どこの交響楽団も本当に苦労をされている。

 

広響も7月からホール満席の半分以下の公演を余儀なくされてきたなか、昨夜は久々の全席販売。総勢1300名(全席2000名)が観賞したと報道されていました。結構な密状態ではあります。

 

新型コロナも第3波と言われる流行が始まっているようです。札幌市はかなりひっ迫してきています。やはり寒さと乾燥が良くないのでしょうか?

 

私は音楽を聴くと、映像や匂いという聴覚と違う五感のイメージが浮かぶ妙な癖があります。例えばモーツァルトの一部の交響曲や協奏曲を聞くと血の匂いがする。変でしょ?

 

昨夜の『ロマンティック』は作られた年代のせいなのか、資本主義の香りがする。香りというのは、さすがに変なので、貨幣の触感といってもいいのですが、そんなイメージです。ロマンティック感とは相当かけ離れている。

 

ソロピアノの『エリーゼのために』を聞いた時に思ったことがあります。昔から私の中でこの曲のイメージは、消毒液なのです。なんで? と言われても困るのですが、幼い頃、もしかしてどこかの病院で聞いたのでしょうか。

 

小山実稚恵さんが、なぜアンコール曲に『エリーゼのために』を選んだのかは私には分かりません。ただ、多くの音楽ファンが集うホールで、あの旋律が、僕ら聴衆をキレイに消毒してくれたような気持ちになりました。

 

美しい音楽というのは、心を豊かにします。さらに疲れていて病んでいる心には、まさに消毒薬のような効果があるような気もするのです。昨夜のホールから新型コロナウィルスの感染者が出ないことを心から祈ります。