『赤ちゃん本部長』をご存知でしょうか？ ＮＨＫで放送された5分間アニメ番組です。原作は竹内佐千子さん。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子というマイノリティなコミック作家だとのこと（講談社のウェブサイトより）。
もともと2017年～2020年にインターネット上で連載され話題になったウェブコミックのようですが、当時は私この作品をまったく知らず、たまたまＮＨＫ総合の再放送を見て、そのシュールな世界に魅了されてしまったのです。
株式会社モアイに勤める武田本部長、47歳。ある朝目覚めたら、体だけ生後8ヵ月の赤ちゃんになってしまいます。中身はそのままだからと男性部下にオムツ交換などを指示しながらサラリーマン生活を続けるというストーリーです。
会社での人間関係や、結婚観、ジェンダー観など世代間ギャップもうまく描かれていて、なかなか奥が深い。私もおじさん世代の代表として考えさせられるところが多々あります。ところで皆さん、今から戻れるとしたらどのくらいの歳になりたいですか？
飲み会の定番の話ですが、だいたいの中高年の方は、今の経験を持って二十歳くらいに戻りたいとおっしゃる。「これだけの豊富な経験があってあの若さがあったら、やりたい放題だよー。わはは」ホンマじゃろうね？ そんなにうまくいくかねー。（豊富って何が？）
赤ちゃん本部長は47年間相当な苦労と経験をしてきたようですが、赤ちゃんという不自由な体で部下の助けを借りて何とかやっていきます。会議中ウンチを漏らしたり、お昼寝を挟みながらも部下を指導する。ミルクを飲みながら本部長として接待にも参加します。
本当は大柄で強面の本部長だったのに、赤ちゃんになったため、みんなから可愛がられる存在になる。現在、私の一番のあこがれの人物です。誰もが未熟だった頃を忘れて、部下に指示してやらせるのが当たり前になっていく。偉そうに会議で部下の成長を語ったりしている。私もその一人です。
肩書が外れたとき、部下は自分についてきてくれますかね？ 会社で上司と言われる皆さん、どうですか？ マネジメントとリーダーシップの違いですよ。評価をチラつかせて部下を動かしているのはマネージャー、心で動かすのがリーダーです。
赤ちゃん本部長は、赤ちゃんのくせに揺るがないリーダーシップがあります。みんなに慕われる人望が生後8か月なのに備わっている。自分が赤ちゃんになったとして、仕事のためとは言え、部下はオムツを変えてくれたり、ミルクを人肌にして飲ませてくれるでしょうか？
ま、現実にはそんなことはあり得ないんですけど。偉そうに上司面して威張っているそこのあなた、あなたですよ！ 自分が赤ちゃんになって会社に行った時、部下がどんな対応をするかを想像してみるのもいいかもしれませんぜ。笑