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北陸の吹雪の中で気づいたこと

今週月曜日、久々に北陸まで出張しました。福井まで片道3時間半の道のりです。広島から北陸まで日帰りで往復するのはなかなかハード。金沢、富山は割に訪問するのですが、福井で下車するのは生まれて初めてです。天気予報は結構な降雪状況とのこと。汗

 

最近、乗車中は音楽サブスクサービスのアプリ「Spotify」を聴くことが多い。普段聴いている曲をAIが分析してリスナーが好きそうな曲をアルバムのように編集しリコメンドしてくれます。月曜も座席にすわりPCで作業しながらAirPodsで音楽を聴いていました。

 

敦賀辺りで急に吹雪いてきた時、イヤホンから竹内まりやの『色・ホワイトブレンド』が流れてきたのです。1986年にヒットした懐かしい曲です。最近『シングル・アゲイン』や『駅』といった物悲しい竹内さんの曲を好んで聴いていたせいでセレクトされたのでしょう。

 

♪White Spring 春の陽ざしに

 White lips 輝き出せば

 White blend 恋が芽ばえそう……

 

でも何か違う。――これってミポリンの歌った曲じゃなかった? 竹内の提供曲だったのか――そうです、中山美穂の初期の大ヒット曲。大学生のめちゃ暇な頃なのでよく覚えています。資生堂のCMソングでしたよね。確か本人もCMに出演していました。

 

Spotifyの優秀なところは、検索すればほとんどの曲がすぐ出てくるところです。車窓から吹雪の景色を眺めつつ、中山美穂バージョンと聞き比べてみたのです。――まったく別の曲じゃね、これは――アレンジもほとんど変わらないのに全然違う曲のように感じます。

 

福井駅に着くまで、ミポリン版『色・ホワイトブレンド』をずっと聴いていました。中山美穂の少しだけ舌足らずな歌声がめちゃくちゃ可愛らしくて、繰り返し何度も聞かざるを得ない状況なのです。当時は中山美穂をそんなにカワイイと思ったことはなかったのに…

 

50代後半のオジサンが、16歳の少女の歌声に夢中になるとは何ともお恥ずかしい。いやいや、そんな恥ずかしいことでもないか、当時は僕もお肌つるつるの大学生。ミポリンも今年で52歳とのことですから。

 

大学生の頃は女性の声そのものの魅力にはそんなに気づいてなかったかもしれませんね。竹内まりや版『色・ホワイトブレッド』ももちろん素晴らしい。でも恋が芽生える歌詞の内容に比して、多分すでに愛も恋も十分経験されたお歳の声ですので。笑

 

若い頃には分からなかった魅力に、強すぎる欲望を失ってから気づくことがあります。料理やお酒、アート、人間関係もそうです。吹雪の福井を歩きながら、歳を取るのも悪いことばかりじゃないということに改めて気づいたオジサンでした。