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暴走老人と呆け老人 〜第106回〜

今日は文化の日。朝から北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、騒がしいことこの上ない。全く「文化」の香りを感じない1日のスタートです。もういい加減にして欲しいぞ、ロケットマン。

 

独裁国家のやりたい放題がここ最近、顕著です。やりたい放題と言えば、大阪に居た頃、夕方の大阪駅環状線プラットホームで男性のご老体が、堂々と放尿をされていました。

 

ご老体は、酔っ払っていたのか、もう呆けてしまっていたのか定かではありません。迷惑この上ないのですが、かの独裁者とは世間様に掛ける迷惑のレベルが違います。

 

かつて、やりたい放題とはこのような愚行のことだと思っていたのですが、時代は変わったようです。為政者が自分勝手にミサイルをぶっ放し、戦車を送り込んで人殺しをしたりする。

 

昔ある会合でご老人にひどく怒られたことがあります。テーブルを囲み会食をしているとき、隣のテーブルの先に得意先の専務を発見し、立ちあがって一言二言会話をしました。

 

スーツを着込んだ現役サラリーマンの中に私服でいらした70歳近くの男性が、私の前に立つと「お前、今、俺の頭の上で会話しただろ! 馬鹿にしとるんか!」

 

――いえ、そんなつもりはありません。あなたと隣の方の隙間から…――「俺はこんな身なりだが、昔はお前みたいにスーツを着て会社の役員までやった人間や!」

 

――はぁ、ですからそんなつもりは毛頭ないのですが…――「俺の頭の上で偉そうに話しするとは許せん!」得意先の専務も困った顔をされ私を見ています。

 

平身低頭に謝り続け、ご老人には何とか席に着いていただきました。現役を退き、肩書きを失ったエリートのプライドを傷つけてしまったようです。

 

マーケティング論でよく使われる「マズローの欲求5段階説」があります。生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求、の5つの階層が連なる説です。

 

4階層目の「承認欲求」がプライドにあたると言えます。歳を重ね、経験を積んだ人間としては、できれば、それらを満たした上にある「自己実現」を求めたいところです。

 

私の場合は、激昂されたご老人ほど出世した訳でもありませんし、そんな高邁なプライドがあるとも思えませんので、大丈夫とは思うのですが…。

 

できれば、暴走老人より、呆け老人になりたい。どちらも世間の皆さまに迷惑を掛ける意味では同じでしょうが、呆け老人は人を攻撃して傷つけたり嫌な気持ちにすることはありません。

 

そう言いながら、呆けてしまっても、やたらと怒鳴り散らす暴走爺さんになったら、周りの皆さんは2重苦ですね。ま、本人は全然わかってないので、それでもイイんですけど。笑