· 

5回目の卯年を前に仮面ライダーについて長々語る 〜111回〜

「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」より ©石森プロ・東映
「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」より ©石森プロ・東映

いよいよ年の瀬も押し迫ってまいりました。皆さん、いかがお過ごしでしょうか? 今年もいろいろありましたが、歳をとると一年経つのが早くなりますねー。笑

 

まず思い出すのは「サッカーW杯での日本の活躍」と「大谷翔平の2桁勝利2桁本塁打」。さらに「ヤクルト村上の56号本塁打」とスポーツがコロナで沈滞する日本に元気をくれました。

 

それら明るいニュースの前に、暗い出来事もありましたね。ウクライナ戦争勃発に続き安倍元首相暗殺。それに端を発した旧統一教会の政治問題化も日本の負の遺産だと思います。

 

「仮面ライダー」50周年を記念して製作された『仮面ライダーBLACK SUN』をご存知でしょうか。今年10月28日(金) からPrime Videoにて独占配信されました。最近のことです

 

原作となった『仮面ライダーBLACK』は1987年の放送。ちょうど僕が就職した年で、残念ながら見たことはありません。元ネタを知らない者には初めてのストーリーと言えます。

 

ちなみに初代『仮面ライダー』のTV番組オンエアが始まったのは1971年。僕が小学校3年生の時でした。カードを集めるためにスナック菓子を捨てるという社会現象が起こりましたね。

 

石ノ森章太郎が自ら描いた「仮面ライダー」のコミックは2つだけ。初代『仮面ライダー』と、もう一つは『仮面ライダーBLACK』。原作者自身思い入れのある作品だった訳です。

 

『仮面ライダーBLACK SUN』は白石和彌監督のもと、脚本に『東京リベンジャーズ』の高橋泉、コンセプトビジュアルに『シン・ゴジラ』監督の樋口真嗣と、期待しますよね、普通。

 

キャストもすごい。主演に西島秀俊と中村倫也。助演に濱田岳、吉田羊、中村梅雀…さらに期待が膨らみます。昔お世話になった三浦友和さんのご子息:三浦貴大も準主役級の活躍とか。

 

見ましたPrime Video。全10本立て続けに。吐きそうになりながら。何たって白石和彌監督、田口清隆特撮監督、今村力美術監督と『孤狼の血』のスタッフが勢揃いですから。汗

 

怪人たちの腕は当たり前のように切断され、仮面ライダーの足も千切れ、腹に刀が突き刺さります。時の総理、堂波真一の首もスパッと切られて頭が飛んでいく。残虐過ぎです。泣

 

差別描写や集団リンチ等、社会問題にフォーカスした内容は賛否あるでしょう。Amazonの作品評価は、ほとんど否定的意見です。ま、子供の頃見た「仮面ライダー」とは違いすぎる。

 

1972年と2022年が交互にシンクロする映像描写で、1972年のアジトはまさに浅間山荘事件であり、2022年の社会は貧富や人種等あらゆる格差問題をあぶり出しているようです。

 

1971年4月3日放送の『仮面ライダー』第1回は怪奇性を強く押し出した内容でした。タイトルは「怪奇蜘蛛男」!  子供が怯えて困るとのクレーム電話がTV局に殺到したとか。

 

『仮面ライダーBLACK SUN』の根底にあるのは原点回帰でしょう。怪奇性や時代のリアリティ、ドラマの演出可能性など、広告屋として深く考えさせられる部分が多々ありました。

 

2023年、いったい何が待っていて、何が起こるのか。楽しみなようでもあり、怖いようでもある。平和だけを願うのが本当に良いことなのか。そこに隠れた弱さはないのか。難しい問題です。

 

皆さまにとって、来年が良い年であることを心からお祈りいたします。