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アルフォンス・ミュシャとマンション建設 〜134回〜

ひろしま美術館で開催されている『ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者』を観てきました。入館料大人1,500円、なかなかの金額です。まぁ、入館料分の価値は十分にありますけどね。

 

ミュシャの有名なポスターやカレンダーのリトグラフはもちろん、ビスケット缶のパッケージや郵便切手箱、ブローチや香水瓶などのプロダクトが珍しくて、とても素敵な展覧会でした。

 

私は、実はちょっとしたミュシャコレクターで、30代の頃「アールヌーボー」にかぶれて、ミュシャのポスターやレストランメニュー等のリトグラフや書籍・雑誌の挿画を収集していました。

 

そのうち、テレビ東京の「開運!なんでも鑑定団」に鑑定を依頼しようかと思っています笑。なぜ当時、あんなにアールヌーボーにはまっていたのか今となってはよく思い出せません。

 

モエ・エ・シャンドンのメニュー 1899年
モエ・エ・シャンドンのメニュー 1899年

ちょうど20世紀末で、アールヌーボーの世紀末感にシンパシーを感じたのか? 衝動買いしたマンションの部屋も、全てアールヌーボー風の壁紙で、お風呂やトイレもそれ風にタイル装飾されていた。

 

その後、転勤が多くなり、マンションを貸す時、借り手がつきやすいよう真っ白な壁に全部改装しましたけど。汗 ミュシャの作品だけは、今も押入れの中に梱包されたまま押し込まれています。

 

唯一、玄関に入った目の前の壁に「モエ・エ・シャンドン」の小さなメニューが金色の額に入って飾られています。一番高価だったミュシャ挿画本『主の祈り』の数ページは押入れの奥です。

 

主の祈りは、キリスト教徒にとって最も神聖な神にささげる祈りの言葉。キリスト自身が”神にはこう祈りなさい”と直接弟子に伝えたと言われる全7節にわたる祈禱の言葉です。

『主の祈り』第1節 1899年
『主の祈り』第1節 1899年

“19世紀末の最も美しい本の一つ”と称えられた挿画の第1節部と最後の挿絵を購入したのです。アールヌーボーの最高傑作だと私は信じています。(キリスト教徒ではないのですが。)

 

高層階のため割と日当たりの良い部屋で、紫外線カットのフィルムも窓ガラスに貼っているのですが、リトグラフは褪色がやっぱり怖い。紙は湿度も気になりますしね。

 

実は、私の住む部屋のすぐ南側に同じくらいの高さのマンションが来年早々、建設を始めるらしいのです。折角の素敵な眺望も、2025年秋には景色も日当たりも悪くなるだろうなぁ。

 

広島市中区にあって市内全体が見渡せるとても良い部屋だったのですが、今後一番の楽しみは、押し入れの奥にしまい込んであるミュシャの版画を部屋に飾ることです。