· 

節分と愛妻家 〜150回〜

本日、2月3日は節分です。節分は、立春の前日のこと。1年の健康や幸福を願う行事を行います。私も幼い頃、亡き祖父の家でよく豆まきをしました。皆さんもきっとそんな経験がありますよね。

 

「鬼は外、福は内!」災いをもたらす鬼を家の外に追い出し、幸せをもたらす福の神を家の内に呼び込むと言う願いを込めて豆をまく。よく考えれば、不思議な行事です。なんで豆なのか?

 

日本では古来より「米・麦・ひえ・あわ・豆」の五穀には穀霊と呼ばれる精霊が宿るとされ、室町時代から「魔を滅する(魔滅=まめ)」という言葉にかけて実際に豆をまいて鬼を払うようになったとする説が有力です。

 

人間の想像力は偉大です。ーー邪気の化身である「鬼」を考え出し、豆を神聖化して、そのお祓いに使うーーそれが行事となり文化となり歴史を創る。「鬼」についても鬼のモデルとなった伝説はいくつもあります。西洋人がモデルになったとか…笑

 

広島の打越町にあった祖父の家に般若の面が飾られていました。般若は鬼女を現し、能の演目で使われます。なぜ祖父が般若の面を寝室に飾っていたのかは不明です。幼心に祖父の家に泊まるときはこの面がとてつもなく恐ろしかった。

 

祖母に聞くと、お面は女の鬼だと言う。悲しげな目をしているが叫んでいるように開かれた口から牙が見え、泣きながら怒ってるような印象です。祖母が亡くなった頃、祖父がまだ若い時に浮気がひどく祖母が可哀想だったと母に聞きました。

 

女の人が悲しみながら怒っている顔。単に怒っているより数段恐ろしい。般若面を使う能の演目に、夫に離縁された女が鬼となるが祈祷を受けて退散する話があると聞きます。あの恐ろしい顔は、後妻を迎えた男への怨恨の象徴のように思われるのです。

 

自分で言うのも変ですが、私ほどの愛妻家はいません。浮気などあり得ません。それは幼稚園の頃から般若面に睨まれながら祖父の家で過ごした影響なのかもしれませんね。女の人を泣かせると般若に変身してしまうのですよ。怖すぎるでしょ、浮気の代償が!

 

これを書きながら、ふと思ったのですが、あの般若の面は祖父ではなく、祖母が飾ったのかもしれません。じゃなきゃ男があんな恐ろしい顔の鬼女の面を寝室に飾ったりはしないと思うのです。浮気退治の豆まきをする祖母の姿が見えるような気がします。汗